コラム

「AIが仕事を奪う」を鉄工所時代から見てみる

2018/04/30

18歳で鉄工所に就職し、22歳で「梱包業」に弟子入りし、25歳で独立開業するも、36歳でリーマンショックにより廃業し、現在は大手運送会社に勤務中。

そんな私が体験してきた、コンピューターの進化についてお話しします。

 

 

丁稚奉公時代

 

幼少の頃から「手の職をつけたら食いっぱぐれがない」と教えられて育ちました。
地域柄もあって、高校を卒業してすぐ鉄工所に勤め、工作機械の汎用旋盤やマシニングセンターなどを使って、機械部品を製作していました。

 

 

 

工作機械の中に頭を突っ込んで作業をするので、頭から油まみれになったり、汎用旋盤では、鉄を削る機械なのでキリコ(鉄の削りカス)が飛んできて火傷をしたりしたもんです。

 

 

当時は「3K」と言って「危険」「きつい」「汚い」と言って嫌がられたものです。

 

このキリコはタバコの火より熱いので、紙などがあると簡単に火がついてしまいますし、素手で触ると怪我をしたりします。

 

鉄を削るための刃物を「バイト」と呼ぶのですが、鉄の切れ味や削りカスをうまく逃がす為に、グラインダー(回転ヤスリ)を使って自分で刃物を研ぎます。

 

穴を空けるためのドリルも自分で研ぐのですが、これがなかなか難しく、大昔の職人さんは、ドリルを太陽にかざし、刃物の先や傘の角度を調整しながらドリルを研いでいたものです。

 

私が鉄工所に就職した時は、ドリルを研ぐ機械がありました。
専用グラインダーにドリルを備え付けて、ドリルをクルクル回転させると綺麗には物が研げて、切れ味抜群になるのです。

 

 

コンピューターが内蔵される

 

手作業の工作機械にコンピュータが内蔵され、複雑な加工が出来るようになりました。
コンピューターに加工指示を出す為にプログラムを作ります。

初期の頃は暗号のように穴が空いたテープを読み込ませて作業をしていましたが、モニター画面が搭載されると、コンピュータ言語で打ち込んでプログラムを作っていました。

いわゆる「Gゼロ」と言うやつです。

だけど、一つプログラムを間違うと、機械が衝突するのです。

「ドカーン!!」と大きな音が響き渡り、地震にも似た揺れを感じる事もしばしばです。

材料の鉄に刃物が食い込んだり、刃物が折れて弾き飛んだり。

機械には軸となるものがあるので、それが正位置で無いと全ての寸法が狂ってしまうので商品にならなくなってしまうのです。

 

 

対話式でプログラム作成

 

その後は対話形式でプログラムが打てるようになりました。

プログラムを打つ時に、その都度コンピューターが問い掛けてくるのです。

コンピュータが「どんな加工をしたいですか?」と言う問いかけに「穴を開けたい」とか「外径を削りたい」とか答えていくのです。

 

 

このようにしてプログラムが完成すると、職人技で勝負する汎用旋盤では到底できないような複雑な形状の加工ができるようになりました。

プログラムができると、モニター上でデモンストレーションの映像を映し出してくれるのです。

映像が終わると、作業時間まで答えをはじき出してくれるのですから生産スピードを計算できるので作業効率が上がりますよね。

 

 

この様にして鉄工所業界一つにしても、コンピューターが入り込んで、作業効率化され「職人」をいう熟年がなしえる「カン」と「経験」からなる「技」を持った人が必要とされなくなっていきました。

即戦力になるのはプログラムが作れるオペレーターです。

そしてさらに、最高の機械とオペレーターを引き連れて、工賃の安い諸外国で生産加工する様になったのです。

私が携わってきた仕事から見ても、昔はものすごく効率が悪かったのがお分かり頂けるかと思います。

今、「AIが人間の仕事を奪う」というテーマのニュースや本をよく見かけますが、作業現場では数十年も前から始まっているのです。

コンピューターの導入で企業は肉体労働者・事務部門の人間を減らすことができました。

これから第4次産業革命が始まるそうです。

作業効率や利益を追い求めるが為の事なので仕方のない事だし、当たり前になっているけれども、
ただそれがむちゃくちゃ速いスピードで日常生活にまで影響する日がやってくるので、対応できる体制を今から取っておかないと取り残されてしまいそうです。

 

参考資料

 

 



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